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六月の蛇
ブルートーンのモノクロ作品。このブルートーンがなんとも陰鬱で物憂げな雰囲気を醸し出している。主演の黒沢あすかがいい。彼女の凛とした涼しげな表情が魅力的!誰もが持っているような、秘密・欲望が臆することなく描かれている。脅迫され、恐る恐る要求にこたえる内に目覚めていくりん子の中の蛇・・・セリフも多くない。すべてはりん子の表情やしぐさでえがかれる。自慰行為やストーカー行為等難しいテーマだが、なぜか厭らしさがなく、むしろ美しい。この辺は塚本マジックでしょうか・・・
旦那役の神足裕司とのやりとりを見たとき最初は引いたが、クライマックスのあたりにこの人だからいいのか・・・と思わせる、特異なキャラクターだ。・・・でそのクライマックスシーンは圧巻です。りん子炸裂です。
りん子とストーカー道郎は同じ病で、命の灯は風前の灯火・・・奇妙な連帯感が生まれる。これもある意味愛ですよ。道郎の触発によりりん子は内なる蛇に目覚め、その蛇の目覚めを目の当たりにした旦那は欲情する。やっとりん子が望んだ夫婦になれたのだ。賛否両論わかれそうな作品ですが、妙に印象に残ります。そして、塚本作品ってどこか鉄もしくは金属に固執した部分があります。バレット・バレエが銃そのものが鉄ですよね。この作品では、道郎が旦那を攻め立てる場面があります。道郎の局部から金属の触手と化したものが旦那の首を絞めます。どうしても『鉄男』を思い出します。塚本監督・・・鉄が大好き・・・?
「一緒に地獄へ行きましょう・・・」これって極楽のことかもネ。

☆あらすじ☆六月、粘りつくように蒸し暑い梅雨の東京。潔癖症の中年サラリーマン ・辰巳重彦と電話カウンセラーとして働く妻・りん子は都心のマンションで恵まれた生活を送っていたが、セックスレスの夫婦関係は決してうまくいっているとは言えなかった。そんなリン子のもとに、彼女自身の自慰行為を盗み撮りした写真と携帯電話がとどく。電話カウンセラーとして働く彼女の言葉で自殺を思いとどまった男・道郎からの狂った脅迫。その日から、りん子の恥辱と恐怖に満ちた日々がはじまる。妻の心の中にひそむ蛇が目覚め、夫は眠らせていた感情が頭を持ち上げる。 自慰。脅迫。盗撮。覗き…。 死の病に侵されつつ彼女の言葉で最後の生を燃やしはじめた男からの執拗な脅迫がはじまる…。 官能サスペンス。 一緒に、地獄に行きましょう。


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2007/04/11 | 映画の小部屋 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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